2023年4月に発足した『こども家庭庁』。その初代こども家庭庁大臣に任命された小倉將信(まさのぶ)大臣は、町田市から選出されている国会議員。街中のポスターでよく見かけますよね。
今回はらぶ♡ふぁみスタッフと4歳〜中1のこどもたちが、霞ヶ関にある『こども家庭庁 こどもまんなか広場』に伺い、親目線、こどもの目線で小倉大臣に取材した様子をお届け。こどもたちからは思わぬ鋭い質問が飛び出しました!(2023年7月31日インタビュー)

小倉將信(まさのぶ) こども政策担当大臣

1981年東京都生まれ。2012年12月衆議院議員総選挙で東京第23区(町田市多摩市)から初当選。2022年8月内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)、こども政策担当、共生社会担当、女性活躍担当、孤独孤立対策担当。

こども家庭庁とは

2022年6月に「こども家庭庁設置法」と「こども基本法」が成立。日本の深刻な問題である少子高齢化の加速、こどもの貧困や虐待・いじめ、子育ての負担などさまざまな問題に対応するために2023年4月に「こども家庭庁」が発足。こどもが自立した個人として、等しく健やかに成長することができる社会の実現に向けて、こどもと家庭の福祉の増進・保健の向上等支援、こどもの権利利益の擁護を任務とし、設立されました。

『こども家庭庁』設立に合わせて、6人のこどもたちと大臣が書いた文字を合わせた看板が、こどもまんなか広場に飾られています。

こども政策の司令塔機能として、さまざまな省庁にまたがっていた子ども政策を、一元的にこども家庭庁がつかさどることにより、省庁間の縦割りを打破し、真にこどもまんなかの政策「こどもまんなか社会」を実現していくことが役割となっています。

こどもまんなか社会って?

児童権利条約にも書かれている「こどもの最善の利益」を第一に考え、こどもの健やかな成長を促していくこと。重要なのは「常にこどもや若者の目線にたっていく」ということです。
これまでは、こどもに関する政策や制度は、こどもが喜ぶことや、こどもが豊かになるだろうという大人の目線で作られてきました。しかしこれからは、施策を考える段階から、こどもや若者の意見をしっかりと取り入れていくのが「こどもまんなか社会」の意味するところです。
そのために、昨年度より小・中・高・大学生や20代の若者・子育て当事者の話を車座集会で聞いています。また、地域の子育て拠点にも伺い、そこで得た意見や話も大切にしたいと思っています。

2023年度は出産から未就学のこどもたちに向けての事業がスタートします。

乳幼児を育てている保護者に一番関係が深い政策とはなんですか?

出産子育て応援交付金が2023年1月からスタート。心身共にストレスが大きくかかる妊娠・出産・育児に関して、国と地方の伴走型相談支援を充実していくことで一人一人の家庭の悩みに寄り添いサポートしていくとともに、金銭的な負担を10万円相当の給付によって軽減していくという政策です。
こども未来戦略方針では、「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造・意識を変える」「すべてのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」の3つを基本理念として掲げ、妊娠期~こどもがひとり立ちするまでの支援をリーフレットにしています。

こども未来戦略方針(リーフレット等)| こども家庭庁

こども未来戦略方針MAP

未就学児の内、3歳未満のこどもの中の6割が未就園児と言われています。ほぼすべてのこどもが健やかに成長していますが、児童虐待の問題が増えているのも事実です。そういった中で、未就園児に対する支援を充実していくのが政府の考えで、伴走型相談支援の充実もその一つです。幼稚園や保育園、家庭のどこであっても就学前のこどもたちの育ちを保障するための基本的な指針を『こども家庭庁』のもとで作っているところです。

こども未来戦略方針

もう一つは、保育園の開放も必要だと思っています。親が働いていなくても時間単位等で保育園を利用できる新たな通園制度「こども誰でも通園制度」(仮称)の実施を目指し、モデル事業である補助事業を2023年度からスタートしていきます。こういった政策をさまざま組み合わせて未就園児のサポートを手厚くしていきます。

各種手続きがデジタルで完結する仕組みづくりを進めています。

引用:こども家庭庁設立準備室
『DXで「こどもまんなか」プロジェクト』
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_suishin/kodomo_seisaku_dx/dai1/siryou2.pdf

他に政策や支援の最新の情報を得る方法はありますか?

2022年12月に『DXで「こどもまんなか」プロジェクト』を作りました。これは子育て当事者から話を聞き、デジタル技術で子育てをもっと楽しく、安心、便利にしていこうというプロジェクトです。例えば、保育園の就労証明書が紙ベースで記入項目が多いうえに行政に届けに行かなければならず、負担が大きいとの声があり、デジタル化を決定しました。

町田市認可保育園入園手続き2023年10月1日〜デジタル化スタート

『DXで「こどもまんなか」プロジェクト』

他にも、乳幼児健診や予防接種など紙ベースが残っていて、こどもを抱えながら何度も同じことを記入しなくてはいけないという悩みも聞いています。子育ての手続きにおいて、できる限りデジタルで完結するような仕組み作りを進めていきたいと思っています。 

また子育てのさまざまな施策は充実してきているものの、当事者から見たときに、どこにどういう制度があり、自分がどう使えるかが分からないという悩みも大きいと聞いています。それぞれの子育て当事者ごとにどういった政策が使えるかなど、申請を待たずに行政から働きかけるプッシュ型支援の充実も同時に進めていきたいと思っています。

子育て中の皆さんへ | こども家庭庁

さまざまな課題には結びつきがあるので、それぞれ丁寧に取り組んでいく必要があります。

内閣府特命担当大臣として多くの担当(少子化対策・男女共同参画や女性活躍担当、孤独孤立担当、こども政策担当)
を担っていらっしゃいますが、大臣が最も重要課題と感じているのはどのようなことですか? 

さまざまな担当を担いますが、それぞれ違うところもあれば重なるところもあると思っています。子育て世代では、子育てが弧立の「弧育て」になっている家庭もあります。そういった中で、どういった精神的サポートができるか、孤独孤立担当大臣の観点からも政策を充実できると思っています。

もう一つはジェンダー平等なくしては少子化の解決なしと思っています。
わが国の育児家事の負担は女性が男性の5.5倍。スウェーデンやデンマークだと1.3倍位くらいなので、日本の女性が育児をしながらキャリアを積もうとすれば、スーパーウーマンでなければこなせない状況です。

引用:男女共同参画局 男女別に見た生活時間(週全体平均)(1日当たり,国際比較)
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-c01-01.html

重要なのは個人の希望ですが、育児もキャリアも両立したいという女性がいれば、男性が育児参加し、女性の負担を軽減する。家族で負担しきれない部分はしっかり社会で応援し支えていく。そうすることでキャリアを追求し育児と両立ができ、その人の人生がさらに豊かになるような環境をつくらなければいけないと思っています。

そういった観点からも少子化対策・こども政策と男女共同参画は非常に大きな結びつきがあると同時に、それぞれの政策を着実に進めることで相乗効果が得られる分野であると思っています。 重要かつ密接に関係しているものを一つ一つしっかり丁寧に取り組んでいこうと思います。

こどもたちからも小倉大臣へインタビュー!

今回こども家庭庁を訪れた4歳〜中1のこどもたち。最初はドキドキしながらも、それぞれ大臣にインタビューをしました。

小4

小倉大臣はどんなこどもでしたか?

小倉大臣

おとなしいこどもでした。こどものころを知っている友達は、政治家になり大勢の人の前で話しているのをびっくりしていると思います。
人は変わるし、大きくなればできないことができるようになることもある。環境が変わればできるようになるかもしれない。今できないからダメだと思わずに、いつか自分もできるようになる!と思い夢に向かって努力していくことも大切だと思います。私も内に秘めた想いがあったから政治家を目指すことができたんだと思います。


中1

大臣はなぜ政治家になりたいと思ったのですか?

小倉大臣

困っている人を助けたい!という想いがあり、ありとあらゆる困っていることを解決することができる仕事が政治家だと思ったからです。


小2

政治家になって、誰かを救うことはできましたか?

小倉大臣

今、子どもの問題が深刻になっていて、例えばいじめや学校に行けないと悩んでいるこどもたちが沢山いると聞いています。またこれまでのように、先生だけで解決するのが難しくなってきています。学校任せにしないで、例えば町田市、あるいはさまざまな大人たちが一緒になって問題を解決できるような、新たな取り組みを始めました。その取り組みによって悩んでいるこどもたちが救われるのではないかと思っています。
学校に行きづらくなったときに、こどもにとって重要なのは、必ずしも教室に戻ることではなく、どこにいても勉強が続けられること。『こども家庭庁』ができてからは文部科学省と連携をして、家でも近くの児童館でも教育支援センターでも、いろんなところで勉強ができる取り組みを始め、学校に行きづらい子も勉強を継続できるようになったと思います。

こどもの居場所づくり | こども家庭庁

みんなも困っている人がいたら助けてあげてくださいね。そうしたら、自分が困っている時にも誰かが助けてくれるかもしれないし、きっと誰かを助けているところを誰かが見てくれていると思いますよ。


小4

こどもや若者が意見を出せる『こども若者★いけんぷらす』ってなんですか?

小倉大臣

この事業は、皆さんも登録して参加できる取り組みです。1万人のこどもたちから意見を集めて、国の政策について、こどもたちの目から見てもっと良い取り組みにするにはどうすべきか評価してもらうような仕組みです。大人が「これについて考えてね」と意見を求めるのではなく、意見をどう聞くのかについても、こどもや若い人と一緒に考えながら進めていきます。そして、皆さんの意見がどこの部分に取り入れられたか、どこの部分で実現ができなかったかなども説明していきます。こどもをこども扱いしないで、「大人に意見言ってもどうせ聞いてくれない…」と思われないよう、真剣に話を聞く取り組みとなっています。


中1

公園で遊んでいると怒られてしまうのですがどうですればいいでしょうか?

小倉大臣

公園がどうして遊びにくくなっているか知っていますか?周りの住んでいる人から、こどもの声がうるさい、子どもたちだけで遊んでいるとケガして危ない、と心配する大人が増えているのです。私がこどもの頃よりもずっと公園で遊びにくくなってきています。
こどもが外で遊ぶことはとても重要なことで、大人の仕事と一緒だと思っています。友達と遊ぶことで人とのコミュニケーションがとれるようになるし、人は日の光を浴びて成長していくので外で遊ぶことは大切なんです。
こどもが遊んでいて危ないということについては、こどもたちが外で遊べるよう見守ってくれる大人も増えているから、そういう人たちと連携し安全に遊べる環境を作っていきたいと思います。
声がうるさいから遊ばないでという大人には、子ども家庭庁が先頭に立ち、こどもは大きな声で遊ぶものだし、うるさいと言っている人も昔はこどもで大きな声で遊んでいたと思いますので、理解してもらえるよう声を上げていきます。


小4、中1

学校の勉強や宿題が大変です…

小倉大臣

学校では覚えることが多いから大変ですよね。大人になり社会に出ると覚えることよりも、自分の意見を話すことが多くなるので、自分の意見を自分の言葉で伝えることができるようなカリキュラムを学校の中でも作っていきたいと思っています。よく遊び、よく勉強することを、程よいバランスでできると良いですね。


インタビュー中、緊張してしまったこどもたちに向けて大臣からこんなお話が。

こどもには『こどもの権利条約』という約束があって、世界的な取り組みでも『こどもは権利の主体者』であり、社会に関わり意見を言う権利を持っています。投票は18歳からだけれど、18歳未満でも国や町田市などにも意見を言う権利があり『こどもたちが意見を言える場』を作っていくのが『こども家庭庁』の役割です。だから、いい質問をしようと思わず、いろいろな意見を言ってね。

そこから、こどもたちの素直な気持ちが出てきました。こどもたちの小さな疑問にも大臣は一つ一つ丁寧に答えてくださり、話を真剣に聞いていた最年少4歳の子も、思わず「なるほど~!」とあいづち(笑)。大臣も「ありがとう!」と、和気あいあいなインタビューになりました。

町田市はユニセフが認める「こどもにやさしいまちづくり」を進めている日本における5つしかない自治体の一つ

最後に、町田市内で子育てをしている読者の方に向けたメッセージをお願いします。

町田市の石阪市長と度々お話をしてきていますが、市長は子育て支援に対しての情熱を非常に持っている方です。町田市は、ユニセフが認める「こどもにやさしいまちづくり」を進めている日本における5つしかない自治体の一つなんですよ。
子ども・若者の意見を行政に反映させるプロセスづくりを行っている自治体なので、町田が行っている様々な子育て政策について私自身町田から学びつつ、私が国政を担う中で国の支援の方向性をしっかり決め、政策が充実させることで、町田の子育て環境がより良いものになればと思っています。
町田が日本一子育てしやすい街になるように、私も地元選出の国会議員としてより一層頑張りたいと思います。

インタビューを終えて

こどもまんなか広場にこどもたちの絵があって可愛かったです。大臣には知らなかったことを教えてもらい勉強になりました!(小2)

私たちにとても優しく分かりやすく話してくれたのと、小学生でも意見を出せることが知れて嬉しかったです。(小4)

公園での遊びについてなど、大臣が現状を知ってくれていたことに驚きました。大人に言っても…と思っていましたが、話すことが必要なんだと思いました。(中1)

小倉大臣は、笑顔で気さくに質問に答えてくれる中にも当事者の話をしっかりと受け止めてくれる印象でした。
大臣室には子どもが来たときのためにおもちゃも用意されていたり、町田の地域団体のポスターが掲示されていて町田を感じる大臣室でした。 こどもまんなか広場もカラフルな可愛いお部屋で、周りの壁はクッション素材のマットになっており乳幼児にも配慮されていました。壁には保育園児、幼稚園児が描いてくれた絵が飾られ、とても優しい印象を受けました。

大臣室の黒板には、訪れたこどもたちが大臣になったらやってみたいことが書かれていました。
可愛い絵がたくさん飾られたカラフルな「こどもまんなか広場」。
こどもたちと話す場として作られました。

同世代である大臣には、子ども達の話や乳幼児を育てている子育て当事者の話を同じ目線に立って聞いていただくことで、子育て環境や子育て支援、子ども達の未来に向けて生かしてほしいと強く思いました。お話の中でも、こうなってほしい、こうしたら便利になるのにと思っていたことが政策として検討されていると伺い、今後に期待したいと思います。子どもたちの未来のためにも親である私たちがしっかりと国の政策を知ることも必要だと感じました。